休業手当≧平均賃金×6割.「平均賃金」がくせ者.ふだんの給料の6割という意味ではない.
平均賃金の基本的な計算方法は,
平均賃金=(3か月間の賃金の合計)÷(同じ3か月間のカレンダーの全部の日数)
である.この計算が言うところの平均賃金の意味合いとは「会社が休みの日もひっくるめて平均した1日あたりの賃金」であって,つまりは「日当よりも薄めの金額」ということになる.
このため,休業手当の額は,
休業手当≧平均賃金×6割
=((3か月間の賃金の合計)÷(同じ3か月間のカレンダーの全部の日数))×6割
=(日当よりも薄めの金額)×6割
=(日当×6割)よりも薄めの金額
ということになる.つまり,ふだんの給料の6割よりも低くなる.
現在のところ「その休業は休業手当の支払の対象になるかならないか」の「入口」の議論に一部の労使の関心が向けられているようだが,休業手当の支払対象となったとしても必ずしも安心できなくて,休業が長期化した場合であって休業手当が労働基準法第26条のギリギリの額しか支払われない場合には,生活確保が難しくなるケースも出てくるので注意を要する.
もちろん,会社が生活保障のために高めの金額を支払ってくれればこの問題は生じない(民法第536条第2項の議論はここでは触れない.).